融点
※女の子攻めっぽいシーンあり/大したことしてないですが不健全なので一応のR15///その日はふたりとも、めずらしくひどく酔っていた。新しく買ったワイングラスをさっそく使ってみたいから、そんなことを言い訳にしつつ、次の日頭痛でうめくことになる…
5部夢
6.キスをする
久しぶりに彼の姿を見たのは、私が慌てながらアツアツのピザのお皿を、その熱さに汗をかきつつ必死に運んでいるときだった。いつものテーブルに見慣れた、そしてこの一週間誰より焦がれていた彼の丸い、美しく整えられた後頭部を見たときの心のはね具合といっ…
5部夢
夜をくゆらす
彼は夜に帰ってくる日と、夜から仕事に行く日とがまちまちだ。 言われりゃあなんでもやるのさ下っ端は、そううそぶく彼だけど、逆に言えば彼だったらなんだって出来てしまうから駆り出されるのだとも言い換えられるのだろう。 朝起きて夜に帰る仕事を…
5部夢 文章
Pellegrinaggio
「……これ、よかったら。たまたまお店で見かけて似合うかなと思って! サイズがあわなかったり趣味じゃあなかったら捨てたり誰かにあげたりしたりしたって構わないから」なんでもない顔で、なんでもない日に、わたしは恋人に美しい柄のシャツを手渡した。手…
5部夢
4.映画を見る
映画館が一番儲かってたのっていつ? もう半日窓口に座ってるけどあんまり暇すぎて、ここの館長であるはずのおじいちゃんに思わず聞いてしまったら、「……うちはいつだってこんなもんだよ」そんな答えが返ってきた。こんなもんって言ったって、今なんてもう…
5部夢
lo stesso
忙しい日々の中で、オレたちの生活リズムは中々合わない。付き合ってるって言ったって、まずは何よりもそれぞれの人生を必死に生きてくのが大前提だった。もちろん電話をしたり仕事帰りにお互いの家に行ったり、人並みの繋がりはあっただろうが毎日顔が見れる…
5部夢 文章
Una corda
ひとに近づくことは、いつだって怖かった。スタンド能力が目覚める前は、自分の中を他人に土足で荒らし回られるような気持ちになったから。……目覚めた後は、自分が少し感情を制御しかねるだけで誰かを、それどころかその地域全体の人間を殺しかねないという…
5部夢
夜にだけ剥がれる
きょうは遅くなる、朝から彼はそう言っていたから、ひとり早めにベッドに潜り込んだ。一緒に住むようになっても私たちの生活のリズムは微妙にずれていて、顔も合わせない日があったり、家を出ようとする彼の背中を玄関で見つけて慌ててハグするだけの日もあっ…
5部夢
愛する
プラスチックのゲージを抱えて帰宅したわたしを、ブチャラティはどこか不思議そうな表情で出迎えた。「……そりゃあ、……なんだ…?」「あー…、ごめん、話すの忘れてた……。前にね、職場の人に旅行の間預かってくれーっていわれてて」言いながら、家まで必…
5部夢
Alba
雨のネアポリスは、夜になると美しく変貌する。今日は夕方から徐々に雲行きがあやしくなり、夜には霧のような細かい雨が降り始めた。濡れた街の昼間はただ陰鬱な灰色に塗り込められてしまうだけだけど、夜になると街灯の光を丁寧に反射しだすのだ。暗いところ…
5部夢
3.ゲームをする
片方の手のひらを顎に寄せて目の前のゲームの盤面をじっと見つめるブチャラティを、私は彼と同じように盤面を見つめているふりで、その美しい顔の方をこっそり見つめている。私たちの間にあるのは、四つずつの小さな丸が正方形のかたちに並んだゲームボードだ…
5部夢
大人ほど不器用と言いますが
「なあ、あんたブチャラティんちっていったことある?」「……何?」帳簿を必死にめくりながら、指が折れそうな強さで電卓を叩く女に突然かけられる言葉としては明らかに異質な言葉がかけられて思わず手が止まる。オレンジ色のターバンの……確か、ギルガ、だ…
5部夢